
軽量化を目的とした試作を進めていると「耐久性不足」という課題が発生します。 初期段階では3Dプリントを用いて形状の方向性を固め、軽さや構造自由度を優先していましたが、実際の荷重条件や使用環境を想定すると、求められる耐久性能を満たせないことが判明するケースも多いのではないでしょうか。
本記事では、3D プリント試作で明らかになった強度不足に対し、薄板の試作プレス加工へと切り替えることで、短期間・低コストのまま耐久性を満たす構造へブラッシュアップした事例を紹介します。
第1回記事「初期試作における重さの課題を解決!3Dプリントなど、軽量化と耐久性維持を両立する方法」はこちら
目次
薄板の試作プレスで解決
初期形状の検証手段として3Dプリントを採用するメリットは明確です。内部を中空化した軽量構造や、リブ形状の最適配置など、従来の金属加工では難しかった自由度の高い設計が可能になります。試作の早い段階では“まず形状の当たりをつける”ことが重要であり、製品の機能性を定性的に確認するには十分な工法です。
しかし、軽量化した結果、耐久性の課題が顕在化するケースは珍しくありません。むしろそれこそが試作の本質です。重要なのは、そこで止まらず、次のステップとして“より量産に近い素材・工法”へ移行し、耐久性の壁を1つずつクリアしていくことです。
そこで検討されたのが、薄板金属による試作プレス加工でした。金属薄板の持つ高い耐久性と剛性、さらに試作プレスならではの形状自由度によって、軽量化と耐久性の両立が現実的に見えてきます。
薄板構造が優れている点は、肉厚を抑えながらも、形状の工夫によって非常に高い剛性が得られることです。曲げやリブ形状がもたらす断面二次モーメントの向上によって、軽さをキープしながら3Dプリントより高い耐荷重性を発揮できます。
しかし、通常の板金曲げ加工だけでは形状に限界があります。板を折り曲げる工法では、立体的な膨らみや凹み・段付き形状といった “耐久性に寄与する形状” を思い通りに表現できません。また、複雑形状を再現しようとすると溶接を多用することになり、歪みや応力集中・溶接痕の弱さなどが耐久性のボトルネックになります。
ここで有効となるのが試作プレス加工です。試作プレスは、量産金型とは異なる “簡易型” を用い、少量生産向けに柔軟な成形を行う工法です。一般的にはアルミ型や樹脂型を用いることで、短納期・低コストでプレス成形のメリットを享受できます。
試作プレスを採用したことで、今回の試作品は曲げ加工では再現できなかった複雑な立体形状を一体化でき、強度を落とす原因となっていた溶接箇所が大幅に減少しました。結果として、耐久試験で必要な荷重条件をクリアし、軽量化と耐久性という相反する要件の両立に成功しています。
試作プレス加工とは
試作プレス加工は、量産前の少量試作に最適化された加工方法です。最大の特長は “簡易型” を使用する点にあります。量産金型のような精密で高コストな金型とは異なり、初期形状の検証目的に適した簡易構造の金型を用いるため、納期・コストのハードルが大幅に下がります。
“プレス加工” と聞くと、量産のイメージが強いかもしれません。しかし、試作段階で求められるのは、量産ほどの精度ではなく、量産で想定している加工効果を “まず試すこと” です。たとえば、シボリ加工・バーリング加工・フランジ成形など、曲げ加工では再現できない立体的な形状を、試作プレスなら手頃なコストで再現できます。
特に、3Dプリントでは得られない金属薄板ならではの高い強度と靭性を活かせる点が、今回のような耐久性を重視する試作工程で大きなメリットとなります。
試作プレス加工の強み
試作プレスの最大の利点は、形状自由度と強度を同時に満たせる点にあります。
通常の曲げ加工は「平面からの曲げ」を前提とするため、形状が複雑になるほど制約が増え、強度確保のために部品分割が必要になるケースが少なくありません。一方、試作プレスでは金型形状に沿って立体的な成形が可能なため、曲げ加工では実現できない複雑形状にも対応できます。
この立体成形により、複数部品を一体化する設計が可能となり、溶接・ねじ固定・リベットといった接合工程を削減できます。結果として、部品点数の削減による軽量化と同時に、組立工数の低減による試作サイクルの短縮を実現します。組立回数が減ることで製造誤差も抑えられ、耐久性の面でも安定した品質が確保できます。
さらに、簡易型を用いた試作プレスであれば、成形条件や形状を調整しながら複数回の試作が可能です。量産金型と異なり変更の自由度が高いため、コストを抑えつつ最適形状を詰められる点も大きなメリットです。
試作段階でプレス形状の最適解を見つけておくことで、量産移行後の手戻りやトラブルを未然に防ぐことができます。
薄板でも強度を確保する設計のポイント
薄板構造を強くするためには、単純に肉厚を増やすのではなく、“形状で強度を生み出す” ことが重要です。リブや段差・折り返しなど、プレス加工特有の立体形状は、剛性を大きく左右する要素となります。今回の試作でも、耐久性不足が確認された箇所に対してリブ形状を適切に配置し、局所的な変形を抑制する設計に変更しました。
金属薄板は3Dプリントとは異なり、局所的な変形に対して強く、塑性変形の限界値も高いため、長期荷重を受ける構造部にも適しています。さらに、板取り方向を荷重に合わせることで、疲労破壊に対する耐性も高められます。試作段階では、このような “薄板設計のセオリー” を取り入れつつ、加工性と耐久性のバランスを探ることが重要です。
まとめ
本事例では、3Dプリントによる軽量化試作が順調に進む一方で、耐久性不足という課題が顕在化しました。形状検討や軽量化の初期検証には有効だった3Dプリントも、実使用を想定した荷重条件を満たすには限界があり、次の一手が求められています。
そこで採用したのが、金属薄板による試作プレス加工でした。試作プレスを活用することで、曲げ加工では実現できない立体形状を再現しつつ、部品の一体化による軽量化と耐久性の両立を実現しました。さらに、簡易金型を用いた評価試作により、コストを抑えながら試作サイクルを短縮し、量産を見据えた耐久性検証までを短期間で進めることができました。
このように、軽量化試作の後半フェーズでは、工法の切り替えと試作工程の最適化が成否を分けます。そのためには、用途や検証フェーズに応じて最適な加工方法・加工会社を選定できる環境が欠かせません。
メビーマーケットプレイスを活用すれば、複数の工法・加工会社を横断的に比較しながら検討でき、最短ルートで次の検証ステージへ進む判断を可能にします。
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メビーマーケットプレイス(meviy Marketplace)は、試作段階における板金試作プレスおよびあらゆる板金加工のニーズに対応しています。最薄 0.05mm の加工から全長 4,000mm以上の溶接・メッキ・アルマイトを含む多様な表面処理・塗装などのさまざまな設計条件に柔軟に対応できます。
見積金額や出荷日は最短10分で確認でき、急ぎの場合は最短1日目の出荷にも対応しています。さらに、小ロット(1個から)にも対応しているため、開発初期の試作や検証用途にも理想的です。
また、メビーマーケットプレイスは日本最大級の製造業マーケットプレイスとして、製造パートナーから図面加工品の手配が可能です。ミスミ会員IDがあれば新規の口座開設の手間なく手配を進めることができます。設計データ(3Dまたは2D)をアップロードし、加工方法や材質・表面処理などの見積条件を設定することで、条件に合ったパートナーが提案されます。これにより、複数の加工会社と個別にやりとりする手間が省け、見積もりや出荷日の比較・検討に費やす時間も大幅に短縮できます。
製作事例
メビーマーケットプレイスでは、以下のような板金試作プレスの事例があります。
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部品名 | 取り付け金具 |
| 材質 | 鉄鋼 SECC | |
| サイズ | 板厚(t)0.8* X130 * Y150 * Z30 mm | |
| 数量 | 1個 | |
| 単価 | 12,000円 | |
| 出荷日 | 10日目 |
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部品名 | アルミベース |
| 材質 | アルミニウム A5052 | |
| サイズ | 板厚(t)1.2* X145 * Y85 * Z15 mm | |
| 数量 | 15個 | |
| 単価 | 9,500円 | |
| 出荷日 | 10日目 |
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部品名 | SUSブラケット |
| 材質 | ステンレス SUS304 | |
| サイズ | 板厚(t)2* X155 * Y60 * Z35 mm | |
| 数量 | 500個 | |
| 単価 | 1,600円 | |
| 出荷日 | 20日目 |


