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第3回:塗装仕上げまで!3Dプリントで強度・外観を両立/試作サイクルを早回しできるメビーマーケットプレイス活用法

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初期試作において、軽量化と耐久性の両立までは実現できたものの、製品全体との組み合わせ検証を進める中で「外観品質・デザイン性」という新たな課題が浮上しました。

前工程では、金属薄板の試作プレス加工を用いることで、構造評価に必要な剛性・強度を確保し、量産を見据えた構造の方向性を固めることができたのですが、評価が進むにつれ、意匠面や表面品質まで含めた最終的な製品イメージの検証が必要になったのです。

板金プレス加工は耐久性検証に強みがある一方で、曲面や有機的なデザイン表現には制約があり、デザインモデルとしての完成度を高めるには別の試作手法が求められます。そこで本ユースケースでは、3Dプリントを活用し、材料選定の見直しや充填率調整・高精細な表面仕上げに加え、塗装工程まで含めた評価試作を実施。耐久性とデザイン性を同時に検証するアプローチを採用しました。

近年の3Dプリント技術は材料・造形方式ともに進化しており、塗装仕上げまで含めた外観評価にも十分対応可能です。こうした特性を活かすことで、製品開発後半フェーズにおけるデザイン確定スピードを大幅に向上させました。

本記事では、構造評価を終えた後に直面しやすい「外観品質・デザイン性」の課題に対し、3Dプリントを活用してどのように検証を進めたのかを、造形方式の選択・材料見直し・塗装仕上げのポイントと併せて解説します。

第2回記事 「耐久性も軽量化も妥協しない!板金試作プレスで耐久性検証 」はこちら

初期試作後「デザイン性」の課題へ

意匠性の高いプロダクトや、触感・質感が商品価値に直結する分野では、外観モデルの完成度がユーザー評価やマーケティング判断を左右します。本ユースケースでも、構造面の検証を終えた次のステップとして、意匠面まで含めた製品イメージの妥当性検証が求められました。

しかし、板金プレス加工は薄板金属を成形する工法であるため、自由曲面や複雑な凹凸形状の再現には構造的な制約があります。その結果、プロダクトデザイン本来の滑らかさを表現しにくい・微細形状や段差の再現精度に限界がある・溶接や折り返し部が外観品質に影響するといった問題が発生しました。耐久性は十分に評価できた一方で、デザイン面では最終判断に至れない状態が生じたのです。

次の選択肢として樹脂切削加工も検討されましたが、対象形状が高難易度であったため、材料ロスや加工時間が増大し、コスト面で現実的ではないという結論に至りました。

こうした検討を踏まえ、外観評価に特化した試作手法として、3Dプリントを活用しました。ここで重要なのは、3Dプリントを初期試作の延長として活用するのではなく、意匠性・表面品質・質感の検証に最適化し活用した点です。

この使い分けにより、耐久性検証とデザイン評価をそれぞれ最適な手法で実施でき、試作サイクル全体の効率化と評価精度の向上を同時に達成できました。3Dプリントではデザインの細部表現や質感の最終確認を短期間で進められたため、各工法が持つ強みを段階的に活かした開発プロセスが成立したのです。

3Dプリントの活用で設計自由度を最大化

3Dプリントを活用する最大のメリットは、以下の2点に集約されます。

■強み①:意匠設計の自由度が最大化される

板金プレスでは、再現が難しい有機的な曲線や微細な質感表現を伴うデザインを、3Dプリントでは制約なく造形できます。このため、デザインコンセプトに忠実な外観モデルを短期間で製作でき、製品デザインの最終判断をスムーズに進められます。

■強み②:材料・肉厚・形状の組み合わせを柔軟に変更できる

これにより、以下のような「外観 × 強度 × 軽量化」のバランス調整が容易に行えます。

  • 肉厚を0.5mm単位で微調整
  • 加飾構造・装飾要素の追加
  • 局所的な補強形状の挿入
  • デザインラインの調整

量産に向けたデザイン確定の “詰め” に非常に適したプロセスといえます。

材料選定と造形条件の見直しで強度アップ

3Dプリントで外観評価モデルを作る際、重要となるのが材料選定と造形条件の最適化です。
今回は、耐衝撃性・耐熱性に優れたエンプラ系材料――とくに PC(ポリカーボネート)や PC-ABS を中心に採用しました。これらの材料は以下の特長を持ち、外観評価だけでなく耐久性検証にも耐える品質を得ることができます。

■エンプラ材料(PC / PC-ABS)の特徴

  • 耐衝撃性が高く、落下・衝撃試験にも強い
  • 耐熱温度が高く、50~80℃程度の環境下でも変形しにくい
  • 剛性・寸法安定性に優れ、外観モデルでも反りが少ない

外観評価用としては過剰な性能に見えるかもしれませんが、製品デザインの確定において “機能モデルとデザインモデルを兼用したい” 場合には非常に有効な選択肢となります。

 

■造形条件の最適化で強度を向上(FDM方式)

今回は熱溶解積層方式(FDM / FFF)を採用しました。
強度を高めるために以下の造形条件を最適化しています。

  • 充填率の調整(高密度化)
  • 積層ピッチの細分化により表面平滑性と強度を両立
  • 造形方向の最適化(層間強度の向上)

これにより、試作段階で十分な耐久性を持ちながら軽量性も維持したモデルを製作することができました。

塗装・表面仕上げで外観品質を検証

外観モデルの最終工程として実施したのが、塗装仕上げによる外観評価です。
本ユースケースでは、3Dプリントによって形状・強度・表面精度の方向性を固めたうえで、量産品に近い見た目や質感を確認するための最終検証工程として塗装を行いました。

塗装は単に色を付与する工程ではなく、外観品質を総合的に判断するための重要な評価ステップです。具体的には、以下のようなポイントがあります。

■ 塗装によって確認できる主な評価項目

  • 表面の再現性
    造形痕や積層痕がどの程度視認されるか、下地処理や塗装によって量産品レベルまで隠蔽できるかを確認します。
  • 色乗りの均一性
    曲面部やエッジ部・肉厚差のある箇所でもムラなく塗装できるかを評価し、意匠品質として問題がないかを判断します。
  • 耐摩耗性・耐候性
    簡易的な擦れ試験や環境条件を想定した確認を行い、使用シーンを想定した外観劣化の有無を把握します。
  • 質感の表現(マット・光沢など)
    製品コンセプトに合った質感が再現できているか、ユーザーが手に取った際の印象にズレがないかを検証します。

特にPC(ポリカーボネート)系材料は塗装との相性が良く、3Dプリント品であっても、簡易塗装を施すだけで量産品に近い外観品質を再現できる点が大きな特長です。そのため、本ユースケースでは高額な金型や量産前試作を行うことなく、短期間で実機に近い外観モデルを用意できました。

この工程により、最終デザイン案の社内レビューやプレゼンテーション、さらにはユーザー評価に用いるモデルとしても十分な品質を確保し、デザイン確定に向けた意思決定を加速させる結果につながりました。

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まとめ

本ケースのポイントは、試作工程を特定の工法だけで完結させなかったことにあります。
初期段階では3Dプリントを用いて軽量化と形状の方向性を素早く検証し、その後、板金プレス加工によって量産を見据えた耐久性評価を実施しました。さらに評価が進む中で、外観品質やデザイン性の確認が必要となり、再び3Dプリントを活用してユーザー評価用の外観モデルを作成しています。

工法を横断した試作プロセスを採用した結果、各工法の強みを最大限に活かしながら、短期間で精度の高い試作サイクルを構築できました。

特に3Dプリントは、強度評価・外観確認・デザイン検証を柔軟に進められる点で、量産前の最終判断を高速化する有効な手段となります。本ケースにおいても、工法の切り替えを前提とした活用により、開発後半フェーズの意思決定を大きく前進させました。

外観評価は「メビーマーケットプレイス」へ

メビーマーケットプレイス(meviy Marketplace)は、試作時のさまざまなニーズに応える3Dプリント造形サービスを提供しています塗装・透明仕上げ・ポリショット・インサート挿入・追加工(精度出し機械加工)など、多彩な2次加工オプションを用意しており、外観評価が重要な設計条件にも柔軟に対応可能です。

見積金額や出荷日は最短10分で確認でき、急ぎの場合は最短1日目の出荷にも対応しています。さらに、小ロット(1個から)にも対応しているため、開発初期の試作や検証用途にも理想的です。

また、メビーマーケットプレイスは日本最大級の製造業マーケットプレイスとして、製造パートナーから図面加工品の手配が可能です。ミスミのIDがあれば新規の口座開設の手間なく手配を進めることができます。設計データ(3Dまたは2D)をアップロードし、加工方法や材質・表面処理などの見積条件を設定することで、条件に合ったパートナーが提案されます。これにより、複数の加工会社と個別にやりとりする手間が省け、見積もりや出荷日の比較・検討に費やす時間も大幅に短縮可能です。

製作事例

メビーマーケットプレイスでは、以下のような3Dプリント試作の事例があります。

部品名 流路解析・組付け確認用
造形工法 光造形(SLA/DLS)
材質 ABSライク
後加工 塗装、磨き
サイズ X150 * Y90 * Z30 mm
数量 1個
単価 30,000円
出荷日 5日目
部品名 流路モデル
造形工法 光造形(SLA/DLS)
材質 アクリル(PMMA)ライク
後加工 塗装・透明仕上げ
サイズ X130 * Y127* Z40 mm
数量 1個
単価 99,000円
出荷日 12日目
部品名 ブラケット
造形工法 光造形(SLA/DLS)
材質 ABSライク
後加工 塗装
サイズ X35 * Y40* Z60 mm
数量 3個
単価 18,500円
出荷日 3日目

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